<愛犬・愛猫とずっと一緒に楽しく暮らすための豆知識 40> 今回のテーマは「お口をほっておくと?4」です
こんにちは。
いぬねこさぷりドクターです。
もくじ
1.お口の中はどうなるのか?
2.お口以外はどうなるのか?
3.対処法は?
4.最後に
とうとう9月ですね。
もう2019年もあと4か月と思うと月日が経つのは早いものです。
丁度、この原稿を書いているころ、関東に台風が直撃か?という話題で
持ちきりで、去年の大阪の台風で停電して大変だったことを
思い出しました。これもまた、もう1年すぎたことに驚いています。
さて、今回でお口のお話は最終回となります。
テーマは、お口をほっておくと?です。
歯石や歯肉炎をそのままにしておくとどうなるでしょうか?
何例かよくみる症状をここにあげてみたいと思います。
まず、歯肉が退行し(歯の根元が露出してきます)、歯のぐらつきも
でてきて、場合によっては何かの拍子に歯が抜けてしまうことも。
前歯はこのパターンをたどることが多いですが、根の深い奥歯は抜けずに、
歯根膿瘍、つまり歯の根元の感染をおこしてしまうことが多いです。
歯根膿瘍になると、眼の下が急に腫れてきたり、眼の下にできた膿瘍が
破裂して赤茶色の液体がでてきたりすることがあります。
また、奥歯の歯根膿瘍によって歯槽骨が溶けてしまい、鼻と口が
貫通してしまうとくしゃみ、鼻水といった鼻炎の症状がで続けることになります。
歯石は、つまり細菌の塊です。歯根膿瘍に至っては感染巣なので、
体の中にずっと病巣をかかえている状態になります。
それによって肝数値が反応性に上昇したり、心臓に影響を
与えたりといった報告があります。
水族館で亡くなった哺乳動物を司法解剖すると、心臓にこの歯から
きたことが疑われるような病変がよく見つかるという話もありますので、
心臓の病気はワンちゃんネコちゃんでは報告が少ないものの
意外とあるかもしれません。
実際、肝臓に関しては、スケーリングと抜歯を行った後に、
肝数値がよくなったという経験があります。
もちろんそうならないようにしっかり日頃からケアを
していただきたいのですが、そうなってしまった場合は
覚悟を決めて麻酔をかけてスケーリングと抜歯をしましょう。
ひどい症例だと残せる歯がなく、ほぼ全ての歯を抜歯しないと
いけないこともままあります。
よく、歳なので麻酔が…と言われます。歳をとっていても身体に
問題なければ麻酔はかけられるのですが、若い頃に比べると
リスクは少し上がってはしまうかもしれません。
ですので、口がと気になって、数年という状態にならないよう、
お歳をとって麻酔をかけるのが心配になる前に
対処してもらった方がいいです。
つまり若ければ若い方がいいということです。
ぜひ、お家の子のお口を今日からでも覗いてみてください
いかがだったでしょうか?
病院で働いていると、しなきゃしなきゃと思っているうちに
骨が溶けてなくなっていたり、
下あごが骨折していたりといった子にも出会います。
お口はなるべく早く対処をと覚えていてくださいね!
※イラストはイメージです